さて、年々受験者のレベルが上がっていると噂の医師国家試験ですが、今年はどうだったのでしょうか。
噂では「119回は難しい、118回は易しい」ときているそうですね。しかし、難易度そのものとは別に、医学予備校のオンラインサービスの整備によって受験生全体のレベルが底上げされ、結果として合格点が上がっているとも言われています。
さて、今年はどうだったのか。国試直後の医学部6年生が、生の声をお届けします。
現時点では、合格ボーダーはおよそ74%前後と予想されています。筆者の体感としての難易度の推移は以下のような印象でした。
- A:難
- B:易
- C:易
- D:やや難
- E:やや難
- F:非常に易
総合的には、119回よりはやや優しくなった印象でしょうか。ただし「易化=安心」という単純な話でもありません。取りこぼしが命取りになるタイプの試験であった、というのが正直なところです。
今年のトピック:AIと国試
今年の受験で最も注目すべき点は、やはりAIの発展でしょう。
iPadで勉強するスタイルが一般化して久しいですが、もはやそれすらオールドスタンダード。今はAIと並走する勉強法がトレンドです。スクリーンタイムを見れば、GoodNotesを開いている時間よりもChatGPTを見ている時間の方が長い、なんてこともしばしば。
ChatGPTの成長は、この1年だけでも目を見張るものがありました。6年生になりたての4月頃は、正直なところ信憑性に欠ける回答も散見されました。しかし今では、国試レベルの学習であればかなりの正確性が期待でき、非常に重宝するツールになっています。
例えば、
「あー、あのフェリチンが上昇する疾患群って何だっけ?」
こんな疑問を、そのまま投げられるのは大きな強みです。フェリチン上昇疾患を横断的に整理している参考書は意外と少なく、該当ページを探すのも一苦労。しかしChatGPTなら数秒で一覧化してくれます。
従来の縦割り学習だけでなく、横断的な整理が圧倒的にやりやすくなった。国家試験対策のように、知識を反復してinputし続ける勉強では、これは大きな革命でした。
その影響もあって、今年の医学生のレベルはさらに一段階引き上げられたのではないでしょうか。
全体を通して
全体を通して感じたのは、「奇問は減ったが、基礎を外すと致命的」という印象です。王道を問う問題が多い一方で、曖昧な理解では確実に失点する構成でした。
差がついたのは、奇抜な知識ではなく、「当たり前をどれだけ確実に取れたか」。そして、その“当たり前”の精度を高めるために、AIをどれだけ上手く活用できたかも一つの鍵だったように思います。
医師国家試験は、毎年少しずつ姿を変えながらも、本質的には「医師として最低限必要な知識を安定して再現できるか」を問う試験です。
その土俵の上で、学習環境は確実に進化している。
第120回は、その転換点を象徴する一回だったのかもしれません。
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